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●特徴
ドラセナは園芸店やホームセンター、最近では100円ショップでも見かけるようになった非常にポピュラーな観葉植物のひとつです。ドラセナは多くの品種があり、葉の形や色のバリエーションも豊富で、幹が柔らかい為、針金を使うことで自分好みの樹形に仕立てる楽しさもあります。
人気の品種は、細い葉が涼しげなドラセナ・コンシンネ、カジュアルな葉の色が部屋を明るい印象にしてくれるレモンライムワーネッキー、南国感漂うドラセナ・マッサンゲアナ、様々な部屋に合わせやすいドラセナ・コンパクタ、非常に入手しやすいドラセナ・ゴッドセフィアナです。他にも様々な種類がある為、さまざまな園芸店に行くと新たな発見があるでしょう。
●育て方
日当たり | 直射日光の当たらない明るい場所 |
最適温度 | 10℃以上 |
耐寒性 | 低い |
耐暑性 | 高い |
耐陰性 | 普通 |
水やり | 春~秋:土の表面が乾いたら 冬 :土の表面が乾いて1~3日後 |
肥料 | 春 :緩効性肥料を与える 春~秋:液体肥料を2週間に1回与える |
剪定 | 5~6月 |
増やし方 | 挿し木 |
◾️日当たり・置き場所
直射日光が入る部屋ならば、薄いカーテン越しの柔らかい光で管理し、風通しも良くしましょう。特に夏場の直射日光は、葉の色を茶色く焼いてしまいます。
日光のあまり降り注がない部屋では、カーテン越しの世話でなくても大丈夫です。むしろその部屋で一番明るく風通しのいい場所で管理しましょう。
気温が20度を超えてくると、ドラセナは活発に成長し始めます。この春から秋の時期だけは、外で管理しても元気に育ちます。
ベランダなどの直射日光の当たらない半日陰の環境。そういう環境がない場合、日光を遮る遮光ネットなどのアイテムを取り入れてみてください。
◾️育成温度・耐寒性
ドラセナの原産地はアジアやアフリカの熱帯地方のため、寒さが苦手で10℃を下回ると弱っていきます。
土をなるべく乾燥させて管理すると、5℃くらいまでは耐えますが、やはり生育期の元気さは無くなってしまいますので、10度以上の環境で育てましょう。
◾️耐暑性
熱帯地方原産のドラセナたちは、暑い環境に強い性質を持っています。ただしだからと言って、直射日光に長時間当ててしまうと、葉焼けといって葉っぱが黄色や茶色に焼けてしまい見た目がとても悪くなります。
葉焼けは元には戻らないので、薄いカーテンや遮光ネット、明るい日陰に場所を移動させるなどの対応を取りましょう。大きなドラセナの場合キャスター付きの受け皿に乗せておくと室内や屋外での移動に何かと便利です。
◾️耐陰性
光の少ない部屋でも育てることは可能です。しかし日光が不足した状態が続くと、茎がヒョロヒョロと徒長したり、葉の本来の色が出ずに色の薄い状態になってしまいます。
本来の美しさを保つためには、水やりのタイミングでベランダや軒下など柔らかい光が当たる場所に出して日光浴させてあげましょう。もちろん直射日光は厳禁です。
◾️水やりの頻度
春~秋は、土の表面が乾いたらたっぷりと鉢底から水が出てくるまで水やりします。気温が下がる秋になると自然と植物たちは水を求める頻度が活発でなくなり、土があまり乾かなくなります。この兆候が見られてきたら、水やり頻度を控えていきましょう。
冬は土の表面が乾いてから1~3日後に水やりするか、鉢を持ったり傾けたりして、植木鉢の水分がほとんどなくなった状態(鉢が軽い)の時に水やりしましょう。
水やりの際は季節に関係なく、受け皿に溜まった水は必ず捨てましょう。根腐れの原因となります。さらに葉からも水分を吸収するので、霧吹きで葉水も行うとより元気になります。
◾️肥料について
ドラセナだけでなく、植物を元気に育て続けるには肥料が必須となります。肥料を与える時期は4~10月の成長を開始する時期から休眠に入る前までに与えましょう。
液体肥料の場合は、表示されている規定量に希釈したものを水やりの代わりに2週間に1回のペースで与え、置き肥と呼ばれる緩効性肥料は、植物の根本から一番遠い土の上に2ヶ月に1回与えましょう。
休眠期の冬に肥料を与えるのは根腐れの原因となりますので絶対にやめましょう。また液体肥料は、殺虫効果も備わった液肥がおすすめです。
◾️剪定時期・方法・注意点
そもそも剪定は必ず必要なわけではありません。枝が伸びて邪魔な時、葉が密集して日光が当たらない所があり風通しも悪い時、そのせいで病気や虫が発生している時などの場合に剪定を行いましょう。
剪定は植物にとってダメージとなるため、回復の早い5~9月の成長期の剪定がおすすめです。とはいえドラセナは、観葉植物の中でもタフな植物のため、剪定箇所はどこでもOKです。
ただし切り口が大きくなる時は、切り口に薬を塗って保護しましょう。トップジンなどホームセンターでよく見かける薬があると、剪定するとき便利かもしれません。
◾️増やし方
ドラセナで最もポピュラーな増やし方は、「挿し木」と言う方法です。成長期である5~9月が挿し木のタイミングです。
しかし真夏の暑過ぎる時期の挿し木は、切り口で病原菌が発生しやすく腐って失敗する可能性があります。なので、5~6月がベストシーズンです。以下が手順となります。
- <ドラセナの枝をカット> 剪定したドラセナの切り口を斜めにカットしておく
- <枝の葉を整理> カットしたドラセナの葉を3~4枚残し、それ以外は全て取り除き、残した葉を半分にカットする。これで「さし穂」の完成。
- <挿し穂を水に挿す> メネデールを溶かした水に2時間ほどつけて水を吸わせる。※メネデールは発根促進剤です。
- <土に挿す> 植木鉢や黒のビニールポットへ挿し木用の土、鹿沼土、バーミキュライトのいずれかを入れる。土に3~4センチほどの穴をあけ、さし穂を3分の1か半分を挿す。※この時、粉状の発根促進剤(ルートン)を切り口に薄くつけるとさらに発根確率が上がります。
- <水やり>柔らかいシャワーの水流でたっぷり水やりをする。
- <管理> 発根するまでは、日光の当たらない半日影の軒下などで管理する。土の表面が乾いたらすぐにたっぷりと水あげを忘れずに。発根の目安は新芽が出てきた時なので、それまでは動かさないようにしましょう。
●冬越しさせるには
春先から夏にかけて出回る観葉植物の多くは、日本の厳しい寒さが苦手です。冬に観葉植物を枯らし、また新しい植物たちを購入する方も多いのではないでしょうか。
ここでは、ドラセナだけでなく観葉植物を冬越しさせるための最低限の対策をご紹介します。
◾️水やりは控えめに
秋が深まり冬になると、植物は春や夏のように水を欲しがりません。1週間に1回くらいのペースでの水やり。もしくは、土の表面が乾いて2~3日後の水やりにしましょう。植木鉢を持ったり傾けたりして、土が乾燥しきっている(鉢が軽い)時も水やりタイミングです。
水をあげすぎてしまうと根腐れや、根っこが冷えてしまい株自体が傷んでしまいます。寒くなったら土を完全に乾かし切ってからの水やりと覚えておきましょう。
⚫︎葉水を忘れずに
寒い時期の土の加湿は良くありませんが、葉の乾燥はハダニの原因になります。また、葉からも水分を吸収しますので、霧吹きで空中の湿度を上げましょう。加湿器での乾燥対策も有効です。
◾️10℃以上の室内で管理
室内は10℃以上に保ちましょう。室内に取り込み霜から守れたとしても、気温が低すぎるとやがて枯れてしまいます。
とはいえ1日中暖房をつけるのは、光熱費が心配です。そんな時は段ボールや発泡スチロール、プチプチ、鉢カバーなどに入れて冷気を遮断することが効果的です。
◾️夜間の窓辺には置かない
日中は暖かく明るい窓辺は、夜間一気に気温が下がります。この大きな気温差が苦手な観葉植物が多いので、窓辺に置きっぱなしという事は避けましょう。
移動が面倒な場合は、厚手のカーテンを閉めるだけでも冷気を遮断できますし、キャスター付きの受け皿を利用すれば、植木鉢の移動も楽です。
●起こりやすいトラブル
◾️葉焼け
特に夏場の窓辺は、葉焼けしやすいので直射日光は厳禁です。
⚫︎症状
- 葉っぱが黄色または白っぽく色が抜けている
- 茶色く焼けたように変色している
⚫︎対策
- 窓辺ならレースなどの薄いカーテンで遮光する
- 外の管理なら、すだれなどで遮光する
- 葉焼けした葉は元に戻らないので、焼けた部分をカットする
- 葉を切り落として、新しい葉が出るのを待つ
◾️根腐れ
主な原因として水のやりすぎや、皿に溜まった水の放置です。以下のような症状があれば根腐れを疑ってください。
⚫︎症状
- 葉が落ちやすくなった
- 葉が黄色く変色してきた
- 水をあげても元気にならない
- 土がなかなか乾かなくなった
- 幹が柔らかい
- 土から腐ったようながする
⚫︎対策
- 新しい水はけの良い土に植え替える
- 植え替える時に変色して腐った根っこを切り取る
- 少し水を与えてから霧吹きで葉水をして,風通しの良い日陰で1~2週間養生させる(春~秋の場合)水に発根促進剤(メネデール)を混ぜるといいでしょう
※一番の注意は、根腐れをしたら決して肥料を与えないでください。
◾️根詰まり
根詰まりとは、植木鉢の中が根っこでいっぱいになることです。そうすると成長が止まってしまい、土に含まれる栄養分が尽きてしまいます。わかりやすい症状としては以下の通りです。
⚫︎症状
- 水が土に浸透しにくい
- 鉢底から根っこが出てきている
- 鉢にヒビが入っている
⚫︎対策
- 春から夏にかけての成長期に、ひと回り大きな植木鉢に植え替える
◾️乾燥
室内は、冷暖房やサーキュレーターの風で乾燥しやすい環境です。乾燥は、ハダニなどの害虫の発生原因となりますので、しっかり対策しましょう。
⚫︎対策
- 冷暖房・サーキュレーターの風を直接当てない
- 霧吹きで葉水をする
- 可能なら加湿器を稼働する
- 理想的な湿度は50~60%なので、湿度計があると便利
●発生するかもしれない害虫と対策
以下で紹介するハダニやカイガラムシは、年間を通して発生しやすい害虫です。乾燥や風通しの悪さが原因で発生することが多いので注意が必要です。
◾️ハダニ
ハダニとは、観葉植物を育てていると悩まされる代表的な害虫の一つです。葉に細かな白い虫が動いていたら、対策しましょう。以下のような症状が観葉植物に現れます。放置しておくと、大量に発生し、他の植物にも広がって収拾がつかなくなりますので、早急の対処が必要です。
⚫︎症状
- 葉の両面(特に裏面)に小さな白っぽい虫が動いている
- 葉に蜘蛛の巣のような細かな糸がついている
- 葉に斑点状に色が抜けたような跡がある
- 葉の色が薄くなっている
⚫︎対策
- ベランダなどの濡れていい場所で、植物の葉や茎を念入りにシャワーで流す
- 植物用の殺虫剤を散布する
ハダニは水が苦手で、水で溺れさせて殺虫します。ですから、日頃からの葉水はとても重要となります。観葉植物を育てる際は、霧吹きが必須アイテムとなります。
◾️カイガラムシ
大きさが2~10mmほどで、植物に寄生して樹液を吸って成長し、植物を枯らしてしまいます。さらに、煤病などの病気も誘発させ、排泄物に含まれる糖分にアブラムシやアリまでも寄せ付ける厄介なムシです。
⚫︎症状
- 植物に白くベタベタしたものがついている
- アリをよく見かけるようになった
- 新芽が出てこない
⚫︎対策
成虫は硬い殻に覆われているため、薬剤が効きにくいです。そのため、歯ブラシなどでこすり落とすのが有効です。
成虫になる前の対策も重要で、土に混ぜるタイプのオルトランなどの殺虫剤で予防し、スプレータイプの殺虫剤も置いておくと、発生した際にすぐに対処できます。
参考文献
橋詰二三夫 谷亀高広(2015)『はじめての観葉植物の手入れと育て方』ナツメ社